パワポには世界を変える魔法がある

はてなブログで「タグ機能」がリリースされたそうな。タグ機能というと、Noteみたいな感じを目指しているのでしょうか。だとすれば、近い将来、同じタグをつけている記事を自動でリコメンドする機能などもきっと実装されるのだと期待します。はてなブログは記事と記事との間のリンクがあまりなく、はてな内を周遊することがほとんどないので、今回の機能拡張はいい感じだなと思います。

さて、そんなタグ機能で初回のお題がいくつか出されています。

そこで今回は「#エンジニアのキャリア」について書いてみます。結論から言えば、パワポエンジニアはオススメだよ、という感じです。

つまみ食いのエンジニアキャリア

まず僕のキャリアを話したいと思います。

学生時代はC++をイジって、電磁場シミュレーションやデータ圧縮アルゴリズムの符号化効率などの数値計算をしていました。C++を泣きながらデバックしてたときに「ああ、プログラミングで食べていくのは無理だな」と感じたので、プログラマではなく適当な企業の技術職として就職することになります。企業名を公開しても良いんだけどCORE30とだけ。んで、以来同じ企業で働いています。

就職後、いろいろな仕事をしました。そのなかでも一番長かったのは、社内で使う業務ITの丸投げ開発。10年くらい。基本的にSIerさんに丸投げなのでプログラミングなどはしていませんでしたが、提案依頼書(RFP)の書き方やプロジェクトマネジメントというものを身に着けました。

その後、内製開発に風向きが変わり、Ruby on RailsやSalesforceあたりを導入して、プログラミングで遊んでいました。その頃は、アジャイル開発だったりクラウド環境だったりの黎明期。ウォータフォール&オンプレミス時代との考え方の違いに驚き、毎日新しい発見がありました。過去、稟議だの工事だのWBSだのプロジェクト計画だのといって、都合3ヶ月以上掛かけていたモノと同様のモノが、たった一日で作れるようになる楽しい時代です。

ですが、楽しい時代も長くは続かず。データ論理設計やSQLができるということから、なぜだかDBAをやらされる羽目になります。僕はどちらかというとフロント寄りのエンジニアでHTML/CSS/JSをイジっているのが好きなんだけど。

全然スキルセット違うんだけどな、、、と思いつつも、上から見たら「同じデータベースじゃん?」ということらしく。インフラ系エンジニアの保守的な気風にイライラしながらも、しかたなくDBAをやってました。いちおう真面目に仕事もしつつ、趣味的にOracle Exadataを入れてみたり、MySQL InnoDB Clusterを組んでみたりもしました。高いオモチャです。

んで、いまは事業部門に移り、戦略策定だったり、DX推進だったり、社内の人材育成だったりといったフワフワした仕事をしています。

振り返ってみると、オンプレとクラウド、ウォータフォールとアジャイル、丸投げと内製開発、フロントとインフラ、業務とIT、プログラマとプロジェクトマネージャと戦略屋と、つまみ食いも甚だしい。我ながらよくゲシュタルト崩壊を起こさないで済んだものだと思います。笑

そんなキャリアの中でも一貫して有用だったのは「パワポ」です。

パワポには世界を変える魔法がある

エンジニア界隈では、コードを書かずにパワポばかり書いているエンジニアのことを「パワポエンジニア」などと揶揄します。お綺麗な絵だけ書いたってモノは動かねーんだよ!ってのはまったくそのとおりで反論のしようもありません。

実際、僕自身も一時期は「このままパワポを書いてていいのかな」とか、「エンジニアはコードを書いてなんぼなんじゃ」とか悩んだこともあるけれど、なんかもう諦めました。笑

しかし、諦めたあとで見えてきた世界があります。

実際のところ世の中はパワポで回っています。

何かしらのプロジェクトの前にはパワポがあります。もしあなたがITエンジニアであれば、あなたが作っているITは、ひとつのパワポ資料から始まっています。ITエンジニアでなくても、身の回りのあらゆる商品、マウスもスマホもテレビもダンベルも冷蔵庫も食品もなにもかもパワポで企画しているのだと思います。

さらにより大きなこと。国家戦略だったり都市計画だったり税制改革だったり。そしてなにより、DXなんて不可思議な言葉が一般市民でも聞いたことがあるワードになったのは経済産業省のパワポ資料が一因です。

www.meti.go.jp

パワポにはコード以上の「魔法」があるのかもしれません。

そういえばひとときパワポ排除論が巻き起こったことがあります。いわく、オフィスワーカーはパワポばかり書いていて仕事をしていない。資料はすでに出来上がっているのに、色を変えたり配置を変えたりして遊んでいるだけだ、と。その遊びでアウトプットが変わるのか、営業であれば成約の可否に関係するのか、もしアウトプットに関係しないなら不要な業務ではないのか。不要な業務を助長しているパワポは悪の枢軸で、社会から抹殺すべきだ。なんて感じ。

ですが実際はなくなっていません。

パワポ排除の急先鋒として知られるAmazonですら、AWSの技術イベントではパワポだらけです。

結局、文章よりも図解で伝えるほうがわかりやすいのだと思います。「総武線は三鷹から始まり吉祥寺を通り〜、またそれと並行して中央線が走っています。総武線と中央線で相互の乗り換えができるのは〇〇駅と○○駅となります。」とかをだらだら読むのではなく、やっぱり電車の路線図がみたい。

技術は日進月歩で変わりますが、図解のほうが好きという人間の本質がある以上、パワポエンジニアの需要がなくなることはありません。

そんなわけで、僕はこれからもパワポを書いていきます。

もしかしたらブログもパワポで書けば良いのかも。

おわり。