社内SE

「Re:ゼロから始める社内SE生活」#03 社内SEの仕事は驚きの連続だった

社内SEの体験を色々と振り返るフィクション小説です。「Re: ゼロから始める社内SE生活」#03、社内SEの仕事は驚きの連続だった

前回はこちら

社内SEの仕事は驚きの連続だった

社内SEになった直後に様々なことがあり、なんだか異世界に来んじゃないかとか、違う会社に来たんじゃないかとか感じつつも、業務を始めていく。

いわゆるシステムエンジニアの業務というと、黒い画面(ターミナル)に向かってコマンドを打ったり、さまざまな色で強調された黒い画面(エディタ)によくわからない英語を叩きつけたりする光景を想像するかもしれない。

しかし、配属された部署ではそういった光景はあまり見られなかった。こういった「いかにも」な光景は、隔離された部屋(セキュリティ・ルーム)で派遣さんが実施していて、社員は主にパワーポイントで絵を描いたり、エクセルで提示された仕様書や開発WBSなどを眺めていることが多かった。

「なにかお手伝いできることありますか?」 と先輩に訊くと、 「とりあえず、ここのフォルダの資料を読んでいて」 と指示を受ける。

まあ最初はそんなものだよな、と思いつつ、指定されたフォルダの資料を読み進めていくとたくさんの発見があった。

社内には知らないシステムがいっぱいある

まず驚いたのはシステムの数だった。

僕はもともと業務部門に所属していて、同じビジネスユニット内の業務支援システムを作る部門に異動したので「さすがにこの部門で開発しているシステムは、あらかた知っているだろう」と考えていた。

しかし実際は、知っているシステムは3つだけで、知らないシステムは12個。つまり、僕は大半のシステムを知らなかった。「単にお前が無知なだけでは?」と思うかもしれないが、元の部門の社員と話しても、やはり、ほとんどのシステムは知られていないのが実態だった。

なぜ、ほとんどのシステムを知らない、知られていないかといえば、業務部門は他の業務部門の業務を知らないからだろう。たとえば、営業部門は製造部門の業務を知らないし、逆もまた然り。それが、Nホップ(N個先の業務部門)であればなおさらだ。業務を知らないので、当然、どんなシステムを使っているのかも知らない。

ただ、知られていないことは、いわゆる「隠蔽」できているので、これ自体はそれほど問題ではないのかもしれない。

ちなみに、一般的に「隠蔽」という言葉は悪い意味で使われるが、不思議なことに、IT業界においては「隠蔽」とは良い意味で使われる。「隠蔽」は、オブジェクト指向だとかSOA(Service Oriented Architecture)といった重要な考え方に繋がっていく。つまりは、細かいことは気にするな、ということだろう。

社内には知らない業務がたくさんある

たくさんあるシステムを読み解いていくと、分かってきたことがある。

それは、いままで知らなかった業務の「流れ」。たとえば、営業部門のアウトプットである受注データが製造部門でどう使われているかとか、製造部門のアウトプットである製造データがサポート部門でどう使われているかとか、など。

その中でも衝撃的だったのは、業務部門時代の僕が作っていたデータは、先方では参考情報の扱いで、無くても別に困らなかったということだった。というか、月末までに渡さなければいけなかったので、あのデータをまとめるために残業しまくっていたけど、無駄だったらしい。(笑)

社内SEが取り扱っている金額は大きい

取り扱っているお金にもびっくりした。

業務部門にいたときには、せいぜい1案件あたり数百万程度のお金を扱っていた。この部署では、数千万円代後半から数億円規模のシステム開発案件が多かった。

あんな趣味で作れそうなウェブサイトでも、丸投げしたらすごいお金が動くものだな、と思ったのと同時に、僕はこれからこの規模のお金を動かしていくのかと自覚し、ゾッとしたを覚えている。

とあるシステムのデスマーチに巻き込まれる

資料を読み漁っていた僕に、マントヒヒ課長は言った。

「CMDBシステムを担当して、まずはテストに加わってほしい」

このあと、僕は、はじめてのデスマーチに遭遇する。

つづく