自己アピールにはSTARフレーム

 さて、この時期になると上期評価のための作文をすることになる。専門的な言い方をすればMBO(Management By Objective)とかいうやつだ。この作文ができないと、芳しくない評価となりお給料が少なくなってしまう。僕自身はこれ以上、出世したくないなぁ、、とは思いつつも、あまりに低い評価だとイライラしてしまうので、給与評価用の作文はちゃんと書くようにしている。

 このMBO作文だけど、なかなかに難しい。

 評価を気にして「オレすげー」だけを書き連ねると、技術系イベントでよくある「うちの製品はとにかくすごいぜ!他社なんか目じゃないぜ!だから買え!」を延々と聞かされるかのような作文が出回ることになる。もし僕が評価者で、そんな作文を読まされたら「うるせーバカ」と思ってドーンと評価を下げるだろう(笑)

 じゃあどうすればいいかというと、STARという便利なフレームワークがあるので共有しておこう。STARはS(Situation:状況), T(Task:課題), A(Action:行動), R(Result:結果)の頭文字をとったもので、要はこのSTARの順番で話すといいよ、というものだ。これを使うと「オレすげー」感を薄めつつもきちんと自己アピールができる。

 具体的にみてみよう。

  • オレが一人で頑張って、完璧な設計をしたぜ!
  • なんとプロトタイプも作ったぜ!だから給料もっとよこせ!

と言いたいが、評価者からするとこんな作文が羅列していても苦痛なだけだ。そこで、同じことをSTARで整理してみる。

  • S 状況: A社様のDX戦略を実現する重要案件に参画するなか、
  • T 課題: 技術先行設計で、必ずしもお客様要望にミートできていないことが課題だった。
  • A 行動: そこで過去の経験を活かしプロトタイプを作成し協議をすすめる形式をとった。
  • R 結果: 結果、お客様自身も見えていなかった要望を含めつつ見積以内で完遂。プロジェクトを成功に導くとともに、A社様の信頼を勝ち取りさらなる案件引き合いにもつなげた。

 どうだろうか。ちょっとは「オレすげー」感が薄れたのではないだろうか。コツは最後のR(結果)を盛ること。塩梅としては、自分の職務の2ランク上くらいの視点で結果を出した・貢献したという言い方をすると「刺さる」のではないかとおもう。客の要望に合わせることの良し悪しは別にして。

 このフレームはシンプルだが強力。実際、このフレームで作文しだしてからは、大した仕事をしてないにも関わらず、悪くない評価が続いている。上司と反りが合わなくても標準以下の評価になったこともない。

 STARは業務評価用の作文以外にも、転職時の面接などで使えるだろう。イヤラシクない形で「オレすげー」をアピールしたいときには有効ではないかと思う。

おわり。