EAの功罪-2 地獄への道は善意で舗装されている

昨今、DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉が賑わっているが、実は過去にも似たようなデジタル化の潮流があった。いま思い出すのも恐ろしい、そして、もう二度と関わり合いたくないEA(Enterprise Architecture)である。

前回、EAというIT開発方法論の概要を述べ、砂上楼閣で対艦巨砲的なプロジェクトが何故か実施にまで進んでしまうお話をした。
EAの功罪-1 理想のIT開発論とその現実 - 新鮮?

今回はそのつづきの「EA 開始後の顛末」を話そう。

EA 開始後の顛末

さて、絵に描いた餅のEA計画にGOサインが出るとどうなるだろうか。

まず経営層からの指示にもとづき業務部門とIT部門との間で「EA推進会議(仮称)」なる定例会議が設けられる。そして、第1回EA推進会議の冒頭、IT部門より次のことが伝えられる。

  • いまのITを全面刷新する
  • いまのあなたの仕事は全然ダメなので全て見直すこと
  • いままであなたが作ったエクセルを全面廃棄すること
  • いままであなたが作った業務マニュアルを全面刷新すること
  • ローンチ後、あなたの部署の人員を半分にすること
  • 以上は社長がコミットした事項である

花形の自部署が、コストセンターのIT部門から因縁をつけられたのだ。こいつらを食わせているのは自分たちなのに、一体全体、何をトチ狂っているのか。場の空気は怒り・呆れ・哀れみ・悲しみが支配していき、ひとときの沈黙のあと「ひとまず持ち帰る」で会議は終わる。

そして第2回EA推進会議。業務部門から次の要件が出される。

  • 既存の業務フローを一切変えないITとすること
  • 新規ITの画面構成は既存ITから一切変えないこと
  • エクセルを破棄するときは、その全てをITで実現すること
  • 業務マニュアルの刷新はIT部門が全て行うこと
  • 業務部門の人員削減は一切認めない
  • 別途取りまとめる既存ITへの改修要求一式を漏れなく実施すること

さあ、楽しいデスマーチの始まりだ。

経営層からのGOが出たことを契機にホントのキーマンがアサインされる。そして、いままで理想として描いていたピカピカの業務フローの欠陥が次々と明らかになっていく。業界の商慣習・法令遵守、部門間の政治的力関係、業務部門のアウトソース戦略・中期数値目標との整合性、機器調達先との契約条件、ユーザのIT操作ロケーション。そして何より、数千人に及ぶ関係者の納得感を醸成することやカルチャー変革を促すことが困難を極めるなど。仕様変更を抑制しようにも不可避な課題がでてしまう。

しかし終わらない夜はない。

数多の仕様変更を取り込みつつもなんとか完成寸前になる。

だが終わりが見えはじめたときでさえ難関が立ちはだかる。既存ITを担当するメンバのモチベーション低下、データ品質の低さから生じるデータ移行の度重なる失敗、移行時の長期ダウンタイムの是非などを通じて、何人もの仲間が志半ばで倒れていった。

結果として、当初予算の2倍以上、2年遅れでローンチした。

IT開発では、「222の法則」とよばれる「計画の2倍の費用と2倍の期間がかかり、計画した2分の1の機能しか実現できない」という法則があるが、まさしくその通りの結果だ。

そして、このデスマーチから生まれたモノが良いモノであればまだ報われもするが、複雑化し、肥大化し、使い勝手が落ち、日々不具合や不足機能が見つかり、そしてそれらの改修にすら莫大な工数がかかる悪夢のようなITに成り下がってしまった。

地獄への道は善意で舗装されている

果たしてコレは何がダメだったのだろうか?

EAが語るIT開発論は理想的かつ常識的で、しかもDXとは異なり、教科書的なガイドライン文献も豊富に準備されていた。海外では多数の採用実績があり成功事例も数しれない。

コンサルは実に優秀で、吸収できるナレッジも多く、本気でユーザ企業を儲けさせようと考えていた。経営層はただただ「儲ける」というミッションに忠実なだけだった。業務部門は荒唐無稽な話に乗らず実利を取った。IT部門は経営層判断に従って死ぬ気で努力した。そして実際にITを開発するSIerは不眠不休で仕様変更に対処した。

誰も失敗を望んでいない。

すべてが善意である。

そう、地獄への道は善意で舗装されている。

多少思想じみていて申し訳ないが、理想の姿を追いかけて現実がダメになるのは、あたかも社会主義のオマージュだ。部署間や役職間で利害関係の不一致がある以上、現実は理想の通りにはいかない。さらに自社以外のステークホルダが絡むとなおさら不可解なことになる。さて、あなたの周りのDXはこんな感じになってないだろうか。

そんなわけでEAは二度と関わり合いたくないが、実のところ良い部分も色々あった。というかデジタル化とかDXとかの根幹に関わるような示唆もたくさんあった。さんざん貶めているような気もするので少しフォローしたいと思う。

長くなったので別エントリで。

つづく。

hiizumix.net

資産公開10/11 S&P495はTOPIXと変わらないらしい【集中か分散か】

42歳のリアルとして資産を公開してみます。

元本 : 5,369,776 (先週差分 +7,321)
資産 : 5,931,335 (先週差分 +55,114)

口座銘柄評価額評価損益
特定口座eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)1,744,216+254,732
特定口座iFreeレバレッジ NASDAQ1003,040,689+190,689
つみたてNISAeMAXIS Slim 先進国株式インデックス644,998+76,598
つみたてNISAeMAXIS Slim 新興国株式インデックス501,432+39,540

トランプ氏のコロナ騒ぎで市場が荒れていたが落ち着きを取り戻してきたようだ。相当ハイリスクに米国インデックスに投資しているので、日本の政治以上にアメリカの政治が気になる今日このごろ。

 

そんな中、すこし衝撃的な記事を読んだので紹介します。

www.itmedia.co.jp

S&P500は非常に好調にみえますが、GAFAMを除いたS&P495の伸び率は、TOPIX(東証株価指数)と殆ど変わらないのだそうです。S&P500もほとんどGAFAMの成長に依存していて、日本株に比べて米国株が総じて好況というわけではないとのことです。

なるほど。

そうだとすると、資金効率を考えるなら、S&P500よりもGAFAM個別株への集中投資とかのほうがよいのでは?と欲が出てきます。

基本的に、老後資金的なS&P500と、趣味的なNASDAQ100レバレッジでギャンブルをしているポートフォリオを組んでいますが、どうせギャンブルするなら、FANG+(Facebook, Amazon, Netflix, Google, + )にするのも面白いのではないかと思ったりしました。

とはいえ、これらIT系の業界勢力はコロコロ入れ替わります。10年前にはスマホも普及していなかったことを考えると、勢いのある企業を勝手に入れ替えてくれるNASDAQ100のままでもいいかもしれません。もっとも、この程度の資産規模なら悩むまえに種銭を増やせって言われそうだけど。(笑)

おわり。

体重公開10/10、痩せない豚は幻想を捨てろ

42歳のリアルとして体重を公開してみる。

今週の体重先週差分トータル
87.15kg-0.15kg-4.1kg

一時期、86kg台まで落ちたんだけど、昨日の夜あまりにストレスフルだったのでマックで気絶食いをしてしまった。反省はしてないけど、思った以上に数値として現れてビックリだ。

 

さて、いま取り組んでいるダイエット方法を共有しよう。

手法としては、テキーラ村上氏の「痩せない豚は幻想を捨てろ」という本を参考にしている。この書籍は、いままで何度もダイエットに取り組んでも、挫折し諦めてしまうデブ、いや「豚」に向けて書かれたダイエット本だ。

その内容は「確実に痩せるダイエット方法」として「糖質をとるな」と「運動してプロテインを飲め」といったことが書かれているだけで、突飛な方法は一切語られていない。ぶっちゃけただの根性論だ。

だがそこが他のダイエット本とは明らかに一線を画している。サプリで簡単に痩せるとか、ダイエット器具で簡単に痩せるとか、部分痩せができるとか、そういった新しい切り口の話は一切ない。というよりも、そういった甘言に踊らされて、挫折し、お金と時間だけがなくなり、その結果、いまもデブのままなのだろう?と問いかける。

いいだろうか、「ダイエットメソッドはいままでの常識を覆す、新しい切り口で、魔法のようで、そして斬新でなければ読む価値はない」と思っているデブを極めし者こそ、その本を読むべきだ。

 

「こうしたらよい」と主張することは簡単だ。だけど「だからダメなんだ」という示唆を与えてくれる本は少ない。なぜなら人間は誰しも自分が大好きで、自分の考えは正しいと思っている。いままでやってきたことを否定されたくない。うるさい、聞きたくない。そんな主張をする書籍はいらない。商業的に難しいのだろう。

だが、著者は「テキ村式ダイエット ビフォーアフター」で検索してみろと説く。そこにはダイエットに成功した人たちの写真が並ぶ。そして「オレをお前達をこうしたいんだ!」という著者の想いがビシビシと伝わってくる。

ダイエットに必要なのは方法ではなくマインド。そんなことをドSな文体で、デブ、いや豚に刺さる言葉で厳しく教えてくれる本だ。

 

えっと、とりあえずマック食べて反省してます。申し訳ありません。。。

おわり。

EAの功罪-1 理想のIT開発論とその現実

すこし昔の話をしよう。

昨今、DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉が賑わっているが、実は過去にも似たようなデジタル化の潮流があった。いま思い出すのも恐ろしい、そして、もう二度と関わり合いたくないEA(Enterprise Architecture)である。

EAとはなにか

EAとは「業務とITの最適化」を目指し、企業内のすべての業務とITについて、数年後の「理想姿」をあらかじめ計画したうえでIT化を進めていくべきだ、という考え方である。代表的な適用事例としては米国財務省や国防総省、そして日本の電子政府構築などがある。ある程度の大企業では一度は取り組んだ方法論だろう。

業務のムリ・ムダ・ムラを廃絶し理想的な全社業務フローを描いたうえで、その業務フローに必要十分なITを用意していく。その言葉だけだといい方法論に感じる方もいると思う。むしろ「それが普通なんじゃない?」という感覚だろう。誰でも無駄なものは持ちたくない。加えて言えばIT開発は決して安くない。意外と知られていないのだが、大企業にもなると数十億円・数百億円規模のIT開発プロジェクトも珍しくなかったりする。

そして実際、数年前にEAが流行り(というかコンサルが流行らせ)、「業務のデジタル化を成し遂げ、さらに超絶クソ高いIT開発を必要最小限にできる米国発の方法論」だとの甘言にそそのかされ、トップダウンで導入が推進されていた。

その結果、日本企業でEAが上手くいった事例を僕はほとんど知らない。儲かったのは上手く逃げ切ったコンサルとパッケージベンダだけである。

IT開発の理想と現実

なぜうまくいかないのか。僕の経験で話そう。

まず、IT利用企業は業務とITの理想像を作ることができない。なぜかというと、理想像を描くためには全部署からキーマンを招集する必要があるが、この時点ですでに無理ゲーだ。キーマンは当然のことながら多忙で招集するのは難しいし、仮に招集できたとしてもEA活動に稼働を割くことはできない。すると、なんでこいつ?という方々が集まる。

とはいえ会社からの至上命令なのでそのメンツで計画を練り始めるわけだが、そこはまるで動物園の様相を呈することになる。ゴリラが「こういうフローになったらウチが困る」といえば、ライオンが「そもそもお前の部署の業務品質がゴミだ」といい、キリンが「あのシステムのこの画面が使いづらいんだよねー」という。

そんな楽しいショーが半年ほど続いたあと、コンサルが綺麗なキングファイルを作り上げて経営層に提出する。紋切り型の市場動向・ポジショニング・経営課題を枕詞にして「EA活動により素晴らしい計画ができました。これに従えば○○億円儲かります。」と言葉を添えて。もちろんそのキングファイルには、半年におよぶ議論の内容はほとんど盛り込まれない。実施に向けての継続検討課題一覧が小さい文字で羅列されるだけだ。

動き出した船は止まらない

では、このEA計画は実行されるのだろうか。

実行されないと思うのではないだろうか。

だが困ったことに実行されてしまう。

経営層から見れば、社内の人間は信用できないが社外の人間は信用できる。お高いコンサルができると言っているし、儲かるとも言っている。そしてキレイな資料で自分の悩み事(デジタル化が進まない、IT開発が法外に高い)が見事に表現されている。そこに拒否する理由は一切ない。ん?IT部門が出来ないと言っている?それはオマエラの予算が減るのが怖いだけだろう?

業務部門の部長たちから見れば、プロジェクトに人を出した以上、失敗するとは言えない。仮に失敗したとしてもシステム部門の責任に転嫁できる。EAは素晴らしい成果です。ぜひとも一丸となって推進しましょう!多少の課題はありますが皆で力を合わせて乗り越えていきましょう!私達にはそれができるはずです!

そして悲劇が始まる。

長くなるので一旦切ろう。僕はEAに懐疑的なスタンスだが実は良い部分もある。そしてそれはEA以外のプロジェクトにも使える話になる。DXが喧伝され、今後多数の方がDXに関わっていくだろう。似たような話であるEAについて、その功罪までお話しできればと思う。

つづく。

hiizumix.net

防振りはプロレス

42歳のオッサンに刺さったアニメを紹介しようと思う。

サラリーマンをやっているとジワジワとストレスが貯まってくる。会社からの「やるべきこと」と自分の「やりたいこと」や「できること」のギャップだったり、ギスギスした上下関係だったり、世知辛い損得勘定だったり。

そんなストレスフルなときは、適当にお酒でも嗜みながら、何も考えず「スゲー」と思える作品が合っている。今回はそんな作品のひとつ「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」を共有しよう。

痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。


TVアニメ『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』第2弾PV

通称「防振り」。内容は題名どおり。VRゲームでステータスを防御に極振りして遊ぶだけの話。防御?攻撃でも魔力でもなく?それでゲームになるの?と思いつつも、その鉄壁を生かし、極悪プレイで他のプレイヤーを圧倒していく。

この作品の魅力は、メイプルが可愛いところ。じゃなくて、頭を空っぽにして「スゲー笑」とか「マジか笑」とか「そうなるのか笑」などとつぶやきながら見ていられることだ。まあプロレス観戦とか、ハリウッドのアクション映画みたいな感じ。

人生への示唆などなにもない。心の琴線に触れるような話もない。ただ圧倒的な暴力。でもかわいい。天使に感動し、悪魔に恐怖しつつも、メイプルが心の底からVRゲームを楽しんでいる姿にほんわかする。特にラストシーンは印象深い。あの醜悪なモンスターが群をなして周囲を破壊し尽くしていく極限状態の中、メイプルはきっとキャッキャと無邪気に笑っているのだろう。

ストレスフルな私達には何も考えない作品も必要だ。

視聴方法は?

NetflixなりHuluなりdアニメなりのVODサービスで見られるだろう。最新の配信状況は各VODサイトにて確認要。

僕自身、VODサービスはU-NEXTのみ契約している。U-NEXTは、エロも見られる、もとい、日本の大手VODサービスということもあり、国内ドラマや国内映画なども充実している。特に好きなアーティストのライブ映像なども視聴できる点は良い。他にVODサービスを契約していなければ初月無料なので試してみてもいいだろう。
≫ U-NEXT(31日間無料)

おわり。

世界を変えたのは疫病だった

今年度のはじめからずっとテレワークを続けている。

僕の職業はパワポエンジニアなのでテレワークでも全然仕事はまわっている。VPN + RDP環境のため、パワポのレスポンスが悪くてイライラする事もあるが、まあ、半年以上続けていたら慣れてしまった。

 

テレワークというと、しばしば生産性うんぬんといったことが話題になる。上がるという論陣をはる人もいれば、下がるという論陣をはる人もいる。僕自身で言えば、むしろ効率化したことのほうが多い。

  • 技術系イベントがオンラインになったので、半日つかわなくてもよくなった
  • 社内の打ち合わせで会議室を用意しなくても良くなった(万年、枯渇していた)
  • 相性の悪い上司と顔を合わせることがなくなり、ストレスが激減した

また、もしかしたら仕事の生産性以上に普段のライフスタイルに影響があったのかもしれない。もともと会社の近くに住んでいるので、通勤時間とか満員電車とかは関係ないのだが、日常生活のルーティーンは大きく変わった。

  • 誰とも会わないので、毎日のひげ剃りをしなくてもよくなった
  • ワイシャツを着ないので、毎日の洗濯物が減った
  • 昼休みの手持ち無沙汰を解消するため、Fit Boxingをするようになった
  • 会社帰り、居酒屋で同僚とくだを巻くことがなくなった
  • 外に出るのが億劫なので、食事は通販&Uberに頼るようになった

こうして書いてみると、なんだか囚人のような生活だな(笑)

是々非々はあるにしろ、トータルでは満足した生活になったのだと思う。HSP気味なので、基本的に長時間、他人と対面で過ごすことが苦手だったというのもある。

 

コロナは悲惨な疫病ではあるが、社会課題を解決した一面もあるだろう。

たとえば長時間通勤だったり、満員電車だったり、東京一極集中だったり、遠隔医療だったり、都市の排ガスだったり、たりたり。まるで夢みていた10年後の未来が来たかのようだ。一年前の自分に「来年、こんな社会課題は解決するよ」と言っても信じてもらえないだろう。不謹慎だが「コロナ、バンザイ!」と感じてしまうこともままある。世界を変えたのは政治でも技術でもなく、疫病だったのだ。

最近はみんな飽きてきて、アフターコロナとかニューノーマルとか新しい生活様式とか言われるが、私達は未来を経験したのだから、良いところは継続して行きたいと思う。社会課題を抱えたままの世界には戻りたくない。

で、何が言いたいかといえば、なんで今月から出社しなきゃいけないんだろう(泣)

DX推進はダム戦争と同じ

 日本学術会議で推薦した6人が任命されなかったとのことで物議を醸している。

 ブログで政治を語るとロクなことにならないので、この件自体への考えは述べない。というか、学術会議うんたらとか僕が関与できる領域ではないので、誰が任命されようがされまいが知ったことではなく関心がないのが正直なところ。

 ただ、このニュースで印象的なのは「前例主義」だ。政権の思惑とかは置いておいて、推薦したら任命するという前例があり、その前例を崩すだけでもニュースになる。

 一方で、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めるという話もある。世界に比べ日本のデジタル化は遅れているので、さっさとデジタル化を成し遂げて、諸外国に追いつこうという。DXだとかデジタル化の推進自体には右派左派関係なく「そうだよねー、やらなきゃねー」という感じだろうか。

 ただなぁ、経験上、この前例主義とDXは非常に相性が悪い。というか水と油、右翼と左翼、嫁と姑。DX というと「単に便利になるもの」と解釈している人も多いが、そんなに生易しいものではない。DX = デジタル技術を活用して、顧客ベースで価値を最大化する仕組みをゼロから作ろうぜ、というものなので、DXを推進するときには「血」を見ることになる。

 ハンコ屋が潰れる程度の話であればいい。

 だが実際には、DXを推進することは、ダム戦争だの成田闘争だのといったものと同義だ。最大多数の最大幸福のためダムを作るからお前ら出てけ、空港を作るからお前ら出てけという論理。その論理を国家だったり企業だったりが全方位的に展開するのがのDXの本質となる。

 DXがいう「顧客ベースで価値を最大化」するとどうなるだろうか。通信技術の発展で人類は場所に縛られることがなくなった。さらにコロナにより対面での交流が避けられるようになった。

 そのとき、たとえば○○銀行新宿支店のような場所に属する支店は不要になり、支店長ポストはなくなる。たとえば学区に縛られた小中学校も不要になり、大多数の教員も不要になる。さらにいえば、一次産業はロボットがやり、小売・飲食はUber Eats化し、交通・物流・インフラは自動運転化し、絵画や音楽などのエンタメは人工知能が創作する。支店長も教員も農家もシェフもパイロットもアーティストも顧客価値最大化に対する一障害でしかない。

 日本学術会議がなんたらとか、ハンコがなんたらなんて言っている状況ではない。前例はなくなる。国家でも企業でもダム戦争が起こり大量の「血」が流れていく。「血」は嫌だからDXなんてやらなければいいとは言っても、すでに世界はグローバル競争になっているから、ダムを作らなければ国家も企業もそして個人も衰退し、座して死を待つだけだ。

 これを恐ろしい世界だと思うか、楽しい世界だと思うかは人次第だろう。自覚・無自覚を含めて既得権益がガラガラポンされる戦争のようなものだ。そんな想いをもちつつも、今日もDXを推進する日々を過ごしていく。

おわり。

自己アピールにはSTARフレーム

 さて、この時期になると上期評価のための作文をすることになる。専門的な言い方をすればMBO(Management By Objective)とかいうやつだ。この作文ができないと、芳しくない評価となりお給料が少なくなってしまう。僕自身はこれ以上、出世したくないなぁ、、とは思いつつも、あまりに低い評価だとイライラしてしまうので、給与評価用の作文はちゃんと書くようにしている。

 このMBO作文だけど、なかなかに難しい。

 評価を気にして「オレすげー」だけを書き連ねると、技術系イベントでよくある「うちの製品はとにかくすごいぜ!他社なんか目じゃないぜ!だから買え!」を延々と聞かされるかのような作文が出回ることになる。もし僕が評価者で、そんな作文を読まされたら「うるせーバカ」と思ってドーンと評価を下げるだろう(笑)

 じゃあどうすればいいかというと、STARという便利なフレームワークがあるので共有しておこう。STARはS(Situation:状況), T(Task:課題), A(Action:行動), R(Result:結果)の頭文字をとったもので、要はこのSTARの順番で話すといいよ、というものだ。これを使うと「オレすげー」感を薄めつつもきちんと自己アピールができる。

 具体的にみてみよう。

  • オレが一人で頑張って、完璧な設計をしたぜ!
  • なんとプロトタイプも作ったぜ!だから給料もっとよこせ!

と言いたいが、評価者からするとこんな作文が羅列していても苦痛なだけだ。そこで、同じことをSTARで整理してみる。

  • S 状況: A社様のDX戦略を実現する重要案件に参画するなか、
  • T 課題: 技術先行設計で、必ずしもお客様要望にミートできていないことが課題だった。
  • A 行動: そこで過去の経験を活かしプロトタイプを作成し協議をすすめる形式をとった。
  • R 結果: 結果、お客様自身も見えていなかった要望を含めつつ見積以内で完遂。プロジェクトを成功に導くとともに、A社様の信頼を勝ち取りさらなる案件引き合いにもつなげた。

 どうだろうか。ちょっとは「オレすげー」感が薄れたのではないだろうか。コツは最後のR(結果)を盛ること。塩梅としては、自分の職務の2ランク上くらいの視点で結果を出した・貢献したという言い方をすると「刺さる」のではないかとおもう。客の要望に合わせることの良し悪しは別にして。

 このフレームはシンプルだが強力。実際、このフレームで作文しだしてからは、大した仕事をしてないにも関わらず、悪くない評価が続いている。上司と反りが合わなくても標準以下の評価になったこともない。

 STARは業務評価用の作文以外にも、転職時の面接などで使えるだろう。イヤラシクない形で「オレすげー」をアピールしたいときには有効ではないかと思う。

おわり。

資産公開10/04 懐具合が気になる【40代独身の金融資産は50万円?】

42才のリアルとして資産を公開してみます。

元本 : 5,362,455円
資産 : 5,876,221円 (先週差分 +599,806)

口座銘柄評価額評価損益
特定口座eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)1,703,468円+213,984円
特定口座iFreeレバレッジ NASDAQ1003,065,591円+215,592円
つみたてNISAeMAXIS Slim 先進国株式インデックス625,236円+60,836円
つみたてNISAeMAXIS Slim 新興国株式インデックス481,926円+23,354円

上記以外には、現金と会社の持株会株式があって合計は1,000万円程度になると思います。

さて、42歳という年齢を考えたときに金額的にどうなんだろ。下世話な話、他人の懐具合は気になるものです。同世代と比べてどうだろうか、老後資金で2,000万円とかニュースになったけど大丈夫だろうか。

で、ちょっと調べてみました。金融広報中央委員会が令和元年に行った 『家計と金融行動に関する世論調査』によると、40代の金融資産保有額は以下とのことです。

平均値中央値
独身564万円50万円
既婚694万円365万円

このエントリを見るような方に平均値と中央値の違いを説明する必要はないと思うので省略しますが、40代独身の中央値が50万円ってほんとなのかな。50万円とか月給じゃん。一ヶ月生きていけないじゃん。

僕自身、お金に関してはたくさんの失敗をしてきました。「宵越しの金を持たない!」と言い張ったり、FXでブイブイ言わせたり、サブプライム・リーマンショックが直撃しゼロになったり、諸事情で引っ越しを繰り返したり。まじめに資産形成を意識しだしたのは40歳くらいからです。

失敗から学んだことをチマチマと文章化して行きたいと思います。

おわり。

運動に判断はいらない

今週のお題「運動不足」

運動してますよ。

もともと陰キャ&出不精なので、テレワークになって家から全く出ない日々を過ごしていました。それはいいのですが、そんな状況だと、たまに近所のスーパーに行っただけで息切れするようになってしまいました。。。ある意味入院患者みたいな感じです。

とはいえ、家から出るのも面倒くさい、もとい、コロナが怖いので、家でできる運動としてNintendo SwitchのFit Boxingをやっています。リングフィットアドベンチャーも持っているけど、個人的にはFit Boxingがお気に入り。

Fit Boxingはやることが少ないので続けやすい。はじめるときもコントローラを手にとって数回ボタンを押すだけ。「今日はどの種目をやろうか」とかを勝手に決めてもらえるので、「判断」することが少なくて脳がラクです。一方、リングフィットアドベンチャーはゲーム性が強く「判断」が多い。それはそれで魅力かもしれませんが、脳みそが疲れている中では、弁当にタンポポを乗せるかのごとく無心にやるのが僕には合っていました。ただでさえ運動しようという意志力を使っているのだし。

結果はどうだろ。ズボラな僕が30日以上継続できて、ちょっと体重も減ったかな。